蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹は誰もがなってしまう病気です。
蕁麻疹は皮膚が赤く盛り上がって強いかゆみを伴い、しばらくすると跡かたもなく消えます。
アレルギーによって発症する場合とアレルギーが関与しない場合があり、誰でも発症する可能性があります。
発疹は24時間以内に消失しますが、ほかの場所に次々と発症。数年続く場合もあります。
ひどくなると、息苦しさや血圧低下などの「アナフィラキシー症状」がでることがあるのでご注意ください。
蕁麻疹の原因
実は原因がわからないこともあります。
蕁麻疹は急性・慢性ともに、多くの場合はっきりとした原因が特定されていないのが実情です。
通常は風邪や腸炎などの感染症、疲労、ストレス、刺激の強い食材の摂取などにより
悪化することが多いとされますが、以下のように原因がはっきりしているものもあります。
原因がはっきりしているもの
- 外来抗原によるアレルギー性蕁麻疹 …
特定の食材や薬剤の摂取など - 食物依存性運動誘発アナフィラキシー …
特定の食材を摂取し2~3時間後に運動した時 - 外来物質のアレルギーを介さない蕁麻疹 …
サバや豚肉による蕁麻疹はこれに分類されることが多い - 不耐性による蕁麻疹 …
アスピリンやそのほかの非ステロイド性消炎鎮痛剤を摂取 - 物理性蕁麻疹 …
皮膚表面の機械的擦過,寒冷曝露,日光照射,温熱、負荷,圧迫,水との接触のいずれか - コリン性蕁麻疹 …
入浴、運動、精神的な緊張などによる発汗刺激により生じる - 接触蕁麻疹 …
特定の物質と接触することにより、接触した部位を中心に膨疹ができる
その他に特殊型として、血管性浮腫、蕁麻疹様血管炎などがあります。
- 慢性蕁麻疹の場合
-
発症してから1ヶ月以上経過したものを慢性蕁麻疹と呼びます。ストレスや環境要因などをきっかけに発症することが多いのですが、採血など検査をしてもほとんどは原因を特定することができません。
- 急性蕁麻疹の場合
-
発症してから1ヶ月以内のものを急性蕁麻疹といいます。急性蕁麻疹の場合、食べ物や、薬のアレルギー、風邪などの感染症、肝臓病、膠原病、寒さ、暑さ、日光、運動、ストレスなど様々なものが原因として挙げられます。
普段は問題なく食べられるものでも、体調次第で蕁麻疹が出ることもありますが、血液検査により原因のヒントを調べることが可能です。必ずしも誰でも蕁麻疹が発症するわけではなく、特定の過敏体質と外的要因が組合わさった時に発症します。
- 小麦製品やエビには
ご注意ください -
最近、小麦製品やエビなどの特定の食べ物を食べた後すぐに運動すると、蕁麻疹、血圧低下、気分不良、呼吸困難などのアナフィラキシー症状がでるケースがあることが分かってきました。この場合は、原因の食べ物か運動のいずれかを避けることで発症を避けることができます。
蕁麻疹の治療法
症状に合わせて
着実に治療を進めます
まずは発症した経緯を調べて、蕁麻疹がどのタイプに相当するのかを検討します。
治療では抗アレルギー薬を内服していただきますが、改善しない頑固な蕁麻疹も多いため、
薬の増量や変更、または胃薬として使われることが多いH2ブロッカーや漢方薬を追加することもあります。
どうしても症状が改善しない場合や、症状が強い場合は、ステロイドの内服も検討します。
注意事項
- 日焼け、アルコール摂取、熱いお風呂、激しい運動をすると症状が悪化することがあるので控えてください。
- 患部を引っかいたり、こすったりしないように心がけてください。
- 魚介類、肉類はなるべく新鮮なものを食べ、食品添加物は少なくしたほうがよいと言われています。
- 日頃から疲れやストレスを溜めないように、規則正しい生活を心がけてください。
蕁麻疹についてよくある質問
- Q.蕁麻疹はどれくらいで治りますか?
-
特定の食べ物が原因の場合、その食べ物を避ければ蕁麻疹は数日で出なくなります。また風邪などに伴う一過性の蕁麻疹の場合は数週間で治ることが多いです。一方で、発症から4週間以上たった慢性蕁麻疹は半年以上、場合によっては数年続くことがあります。
- Q.蕁麻疹はアレルギーですか?
-
蕁麻疹というとアレルギーが原因と考える方が多いようですが、実際にはアレルギーである場合は10%前後しかなく、ほとんどの場合は原因不明とされています。
- Q.遺伝する病気ですか?
-
蕁麻疹は他の人にうつることはなく、ごく一部の例外を除いて遺伝することもありません。ただ、アレルギー性蕁麻疹の人で、いろいろな物質に対してアレルギー反応を起こしやすい体質の人は、その物質に対して蕁麻疹が出やすい体質が遺伝することがあります。しかし、全てのアレルギー体質が遺伝するわけではありません。
- Q.内臓の病気があると蕁麻疹になりやすいのですか?
-
多くの蕁麻疹は出たり引いたりを繰り返すため、内臓の病気の影響が疑われることがあります。確かに一部の症例では、甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、胃炎などが背景にあって蕁麻疹が起こりやすくなるケースはあります。
また、膠原病、血清病、血管炎などのように、皮膚を含む全身の病気の一部として蕁麻疹が現れていることもあります。しかし大部分の蕁麻疹は内臓の病気とは無関係で、内臓の検査を行っても問題の無いことが多いです。蕁麻疹における一つ一つの皮膚症状が数時間以内に消え、かつ皮膚以外に自覚できる症状がない急性の蕁麻疹の場合、内臓の病気を疑う必要はありません。