ミチーガ
アトピー性皮膚炎に伴うそう痒を改善させる
オルミエントは、2021年12月にアトピー性皮膚炎の治療に追加された内服薬です。1日1回の服用で、アトピー性皮膚炎における炎症をコントロールし、服用開始早期からかゆみや湿疹といった自覚症状の改善が期待できます。
皮ふの炎症やかゆみは、炎症を引き起こす物質「サイトカイン」の働きによっておこります。オルミエントは、このサイトカインの働きを阻害しさらにサイトカイン自体の増加も抑えることで、皮ふの炎症やかゆみの根本をブロック。既存治療で十分な効果が得られなかった方にも効果が期待できます。
大村市でアトピー性皮膚炎にお悩みの方は、お気軽に上田皮ふ科にお越しください。
オルミエントは、デュピクセントやリンヴォックと同様に、
アトピー性皮膚炎の湿疹やかゆみの原因を根本からブロックする薬剤です。
アトピー性皮膚炎を引き起こす主役は「Th2」というリンパ球です。オルミエントはTh2から分泌されて皮ふの炎症やバリア機能の低下を引き起こすサイトカイン(IL-4、IL-13)の働きをブロックすることで、アトピー性皮膚炎の発症や悪化を抑えます。
またオルミエントは、Th0がTh2リンパ球に分化する過程を阻害するするため、Th2リンパ球の上流と下流で働きを抑制することができるのです。
オルミエントはJAK阻害薬とも呼ばれ、細胞内でJAK(ジャック)と呼ばれる部分に結合し、炎症の信号を伝える経路「JAK-STAT(ジャック・スタット)経路」を阻害します。
炎症を引き起こす物質(サイトカイン)が細胞の受容体にくっつくことで発信される「炎症を引き起こす信号」を、オルミエントが途中でブロックすることで、皮ふの炎症やかゆみの発生が抑えられます。
従来の治療では、皮膚のバリア機能が低下したり、炎症反応が促進した部分を塗り薬や内服薬で抑えているのみでした。オルミエントは、炎症を引き起こす仕組みを根本からブロックするという点で、これまでとは全く新しい機序による薬剤と言えます。
アトピー性皮膚炎の治療は、新たな薬剤の承認が進み、いくつかの選択肢が存在します。
下記の表に、それぞれの薬剤の特徴や対象年齢などをまとめました。治療薬比較の参考にご覧ください。
薬剤 | デュピクセント | オルミエント | リンヴォック |
---|---|---|---|
投与方法 | 皮下注射 | 内服 | 内服 |
投与間隔 | 2週間に1回 | 毎日 | 毎日 |
皮膚症状の改善度 | 高 | 中 | 中 |
かゆみの軽減度 | 高 | 高 | 高 |
効果発現 | 1〜2週間 | 1〜2日 | 1〜2日 |
安全性 | 安全 | 定期的な採血で確認 | 定期的な採血で確認 |
導入前検査 | 採血 | 胸部X線/採血 | 胸部X線/採血 |
治療可能な年齢 | 15歳以上 | 15歳以上 | 12歳以上 |
※上記の表は公開されている知見を元に、当院での治療経験やドクターの私見を加えて作成しています。
基本はデュピクセントと同じです。 オルミエントを投与するためには、追加で感染症と腎臓機能の検査が必要となります。
成人アトピー性皮膚炎と診断されており、かつステロイド外用剤やプロトピック軟膏にて6ヶ月以上治療を行っている必要があります(あるいは副作用や過敏症のため、これらの外用療法が継続できない方)。
ステロイド外用やプロトピック軟膏外用でコントロールできている患者様は治療できません。また、免疫抑制剤(ネオーラル)やナローバンドUVBを併用すれば改善する患者様も治療ができない可能性があります。
15歳未満の方は治療ができません。15歳以上(高校生以降)の方のみ治療が可能です。
オルミエントを内服される方も、基本は外用治療を併用します。また、内服が終了しても外用治療は継続していきますが、使用量が少なくなり、保湿剤のみで症状がコントロールできるようになる方もいらっしゃいます。
※これらのスコアは、当院の院長が皮疹の状態を見て判定します。
血液検査、胸部レントゲン、ツベルクリン反応などで、感染症と腎臓機能障害を否定する必要があります。
オルミエントは喘息にも効果があります。ただし、急にオルミエントを中止したときに喘息が悪化して命に関わる可能性があるため、オルミエントを投与中にも従来の喘息の治療は継続することが大切です。
現在の日本で寄生虫に感染するリスクはほとんどありませんが、寄生虫に対する免疫を低下させるため注意は必要です。
完全には禁止されていませんが、基本的に投与は難しいとされています。
15歳未満の方は治療ができません。15歳以上(高校生以降)の方のみ治療が可能です。
アトピー性皮膚炎の症状について、ドクターが丁寧に診ます。
胸部X線と感染症や腎臓機能に問題ないか確認するため、採血検査をします。
(連携先内科で実施)
次回受診時に、結果を報告し、検査結果に問題がなければ、投与開始となります。
初診の方は、まず診察をして皮疹の程度をスコア化します。条件を満たしていれば、次の受診時に治療可能です。
初診時には投与できず、次の受診時からの投与になります。
当日、初診の方はこれまでの治療期間や治療内容を伺い、皮疹の程度をスコア化しなければなりません。
その上で適応と判断されれば、次の受診時に投与することになります。
個人差がありますが、投与翌日からかゆみが改善される方もいらっしゃいます。
薬の作用で炎症を抑えているため、急にやめると症状が悪化する可能性があります。
自己判断で服用中止や減量は行わずご相談ください。
気がついた段階で、1回分を服用してください。その後、通常の通り1日1回服用してください。
丸一日服用を忘れてしまった場合は、飲み忘れた分は飛ばして、翌日のいつもの時間に1回だけ服用してください。
同日に2回分をまとめて服用しないでください。